大人の女性が身にまとう着物の中でも、訪問着は色留袖に次ぐ格式を持ち、上品で華やかな印象を与えてくれる装いです。結婚式や入学式、パーティーなど活用のシーンの幅広さも魅力のひとつ。
ただ、その自由度の高さゆえに「どんな色を選べばいいのだろう?」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、着物レンタルショップtententenがシーンや年齢にあわせた訪問着の色選びのポイントをご紹介します。
【シーン別】訪問着の色選びのマナーと小物コーデ術
結婚式や七五三、入学式など、さまざまなシーンで活躍する訪問着。色選びに迷ったら、「いつ、どんなところに、何のために着ていくのか」を意識すると、ふさわしい装いがイメージしやすくなります。
まずは、シーンやTPO別に色選びのマナーやポイントを確認していきましょう。
結婚式におすすめの訪問着の色
結婚式に訪問着を着て出席する際は、会場の雰囲気に合わせて、華やかで明るい色合いを選びましょう。たとえば、明るいピンク、水色、薄緑、淡い黄色、穏やかなグリーンなどは、お祝いの場にふさわしい明るくやわらかな印象を与えてくれます。
白は花嫁のウエディングドレスと被ってしまうため、避けるようにします。また、黒はご親族の第一礼装とされることが多いため、友人や知人の立場では控えた方が良いでしょう。
柄は、鶴や亀、扇、松竹梅など、おめでたい意味をもつ「吉祥文様」がおすすめです。晴れの日にふさわしい、上品な装いに仕上がります。
結婚式にふさわしい小物の色合わせ
帯 |
金銀を用いた錦織などの格調高い袋帯 |
帯揚げ |
着物の色に調和する淡い色合い |
帯締め |
白や金銀をベースにした淡い色 |
半衿 |
白地や上品な刺繍入りの華やかなタイプ |
バッグ |
金銀を使った抱え型や小ぶりの手提げタイプ |
草履 |
金銀、白、淡いピンクなど |
足袋 |
白足袋 |
子どもの入学式・卒業式におすすめの訪問着の色
卒業式や入学式の主役はお子さま本人。そのため、母親の装いは控えめで品のある色や柄を選ぶと、会場の雰囲気に調和しやすく、落ち着いた印象になります。
たとえば、クリーム色や淡いピンク、水色、薄緑、薄紫など、春の季節感を感じさせるやさしい色味がおすすめです。柄も小さめで控えめなものを選ぶと、自然と母親らしいやわらかな雰囲気に。
なお、卒業式・入学式はどちらも季節的に「袷(あわせ)の着物」が基本です。裏地のある袷は、式典にふさわしいきちんと感を演出してくれます。
入学式・卒業式にふさわしい小物の色合わせ
帯 |
金糸・金彩入りが控えめな袋帯 |
帯揚げ |
着物に調和する淡い色合い |
帯締め |
着物に調和する淡い色合い |
半衿 |
白地または淡い色 |
バッグ |
着物に合った上品なもの、サブバッグがあると便利 |
草履 |
金銀、白、淡い色 |
足袋 |
白足袋 |
お宮参り・七五三におすすめの訪問着の色
お宮参りでは、赤ちゃんが主役となるため、可愛らしい祝い着が引き立つような、やわらかく明るい色合いの訪問着が好まれます。たとえば、水色やベージュ、若草色、クリーム色などは、顔映りも良く、写真にも美しく映えるおすすめの色です。
七五三は秋に行われることが多いため、季節を感じさせる装いも素敵です。淡い色合いが定番ではありますが、金彩が強すぎなければ、深みのある色を選んでも問題ありません。
赤茶や山吹色など、秋らしい落ち着いた色を取り入れると、季節感と華やかさを両立できます。主役のお子さまより目立たないよう配慮しつつ、同系色で色味をそろえると、統一感のあるコーディネートに仕上がりますよ。
お宮参り・七五三にふさわしい小物の色合わせ
帯 |
金糸・金彩入りが控えめな袋帯 |
帯揚げ |
着物に調和する淡い色合い |
帯締め |
着物に調和する淡い色合い |
半衿 |
白地または刺繍が入ったもの |
バッグ |
着物に合った上品なもの、サブバッグがあると便利 |
草履 |
白、金銀、淡い色 |
足袋 |
白足袋 |
【年齢別】30代・40代・50代に似合う訪問着の色とは?
年齢を重ねるごとに、似合う色や装いの印象も少しずつ変化していきます。訪問着もまた、そのときどきの自分らしさや立場に合った色合いを選ぶことで、より美しさが引き立ちます。
ここでは、年代別におすすめの訪問着の色をご紹介します。
30代に似合う訪問着の色
お宮参りや七五三など、お子さまの行事で訪問着を着る機会が増えてくる30代。そんなときに、控えめで明るい色合いの訪問着を一枚持っておくと、さまざまな場面で活躍してくれます。
やさしく華やかな色合いが、この年代の柔らかな雰囲気によく映えます。たとえば、明るいピンクや藤色、水色、ラベンダー、淡いクリーム色などが人気です。
柄は大きすぎず、女性らしさを感じさせるものを選ぶと、上品でやわらかな印象に仕上がります。
40代に似合う訪問着の色
40代は、落ち着きと品のある大人の魅力がいっそう引き立つ年代です。明るさの中にほんのりとくすみを含んだ色合いを選ぶと、肌になじみやすく、ふんわりと上品な印象になります。
定番の淡いピンクや水色に加えて、ベージュ、グレー、青磁色などのグレイッシュなカラーを、かっこよく着こなすのも素敵です。控えめながらも洗練された色合いは、入学式や卒業式などの学校行事にも活躍してくれるでしょう。
40代の訪問着の選び方は?大人だから着こなせる色や柄をシーン別ご紹介
50代に似合う訪問着の色
50代は、早い方であればお孫さんの誕生を迎え、お宮参りなどで訪問着を着る機会も少しずつ増えてくる頃です。
色合いは、やや濃いめのものや、くすみを含んだ落ち着きのあるトーンを選ぶと、ご親族との調和も取りやすく、上品な印象に仕上がります。
たとえば、紺、深緑、えんじ、青紫、薄墨色など、落ち着いた和の色味は肌にもよくなじみ、自然な華やかさを引き立ててくれるでしょう。
また、お茶会やパーティーなどに出席される際は、地色に深みがありつつも、華やかさを感じさせる柄ゆきの訪問着を選ぶと、その場にふさわしい格式と気品を演出できます。
50代の訪問着の選び方は?大人だから着こなせる色や柄をシーン別ご紹介
【Q&A】訪問着の色選びに関するよくある質問
いざ訪問着を選ぼうとすると「この色でいいの?」「場の雰囲気にあっているかな?」と不安になることもありますよね。最後に、訪問着の色選びに関するよくある質問をQ&A形式でご紹介します。
Q:訪問着と色留袖の違いは?
どちらもフォーマルな場で着用される格式の高い着物ですが、「柄の入り方」や「着用するシーン」に違いがあります。
訪問着は、肩から袖、そして裾にかけて柄が繋がって入っているのが特徴で、動きに合わせて模様が美しく見えるのが魅力です。結婚式や披露宴はもちろん、お宮参りや七五三、入学式など、幅広いシーンで着用できます。
一方、色留袖は裾だけに柄が入っており、肩や胸元には柄がありません。落ち着いた印象があり、主に結婚式で新郎新婦の親族が着用する第一礼装として用いられます。
Q:友人の結婚式に訪問着で行くのは嫌がられる?
訪問着は、結婚式をはじめとするフォーマルな場にふさわしい着物ですので、友人の結婚式に着て行くことはまったく問題ありません。マナー違反になることもなく、基本的には好印象を与える装いです。
ただ、最近は若い世代を中心にパーティードレスでの参列が主流となっているため、会場の雰囲気や出席者の服装によっては、「目立ちすぎる」と感じられることもあるようです。
あらかじめインターネットなどで会場の雰囲気を調べておき、控えめな色合いや柄を選ぶなど、まわりとの調和を意識した着こなしを心がけましょう。
Q:結婚式の訪問着でNGな色は?
結婚式では、華やかさと上品さを意識した色選びが大切ですが、避けた方がよい色もいくつかあります。
まず、白は花嫁を連想させる色とされており、主役と重なる印象を与えてしまうため、控えるのがマナーです。また、黒はご親族の第一礼装(黒留袖など)として着用される色なので、友人や知人の立場では避けた方が良いでしょう。
そのほか、あまりに派手な原色や、強いコントラストのある色柄も、会場の雰囲気から浮いてしまう可能性があるため、控えめな色合いを選ぶと安心です。
Q:顔色がよく見える訪問着の色は?
顔色を明るく見せたいときは、ご自身のパーソナルカラーを意識すると、着物の色がより自然に肌になじみます。パーソナルカラーとは、生まれ持った肌や髪、瞳の色などに調和する「似合う色の傾向」のことで、大きく次の4つのグループに分けられます。
イエベ春(スプリング) |
・黄みを感じる、明るい色が似合うタイプ。 ・クリーム色、淡いピンク、若草色、ベージュなど |
ブルベ夏(サマー) |
・青みを帯びたやわらかく上品な色が似合うタイプ ・薄藤色、グレー、水色、スモーキーなピンクなど |
イエベ秋(オータム) |
・深みのあるアースカラーやこっくりとした暖色が得意なタイプ ・深緑、オレンジ、えんじ、こげ茶 |
ブルベ冬(ウィンター) |
・青みを帯びた鮮やかな色や、シャープな色が似合うタイプ ・紺色、チャコールグレー、青紫など |
Q:訪問着で痩せて見える色は何色?
すっきりとした印象に見せたいときは、「収縮色」と呼ばれる、実際よりも引き締まって見える色を選びましょう。
一般的には、紺、濃いグレー、深緑などのように、彩度や明度の低い落ち着いた色は、視覚的に引き締め効果があり、全身をほっそりと見せてくれます。また、訪問着の場合は、縦に流れる柄や、すっきりとした配色のものを選ぶことで、よりシャープで洗練された印象に仕上がります。
訪問着の色選びは自分らしさとマナーの両立がポイント|まとめ
結婚式、七五三、お宮参り、卒業式、訪問着は、人生の節目を彩る大切な場面で活躍してくれる着物です。TPOに合わせて色や柄を選ぶことで、その場にふさわしい美しさと、ご自身らしい魅力がぐっと引き立ちます。
「場に合った訪問着を選びたい」「いろいろな色を試しながら、自分に似合う装いを見つけたい」
そんな時には訪問着のレンタルを活用するのもおすすめです。
tententenでは、季節や行事に合わせて選べる豊富なデザインに加え、長襦袢や足袋、帯など、着付けに必要な一式が揃ったフルセットレンタルをご用意しています。
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